会社設立一宮 人事労務情報  「経営者必見! 残業代に関する知識 ②」
文責 社労士・井戸 憲一郎

前回は、【1.未払い賃金の時効のルール】【2.未払い残業代請求の怖さ】【3.時効期間の延⻑の影響】について、ご説明しました。
今回は、前回からの続き、【残業代の知識】についてです。

経営者必見! 残業代に関する知識

多くの未払い残業代は、会社の知識の誤りから⽣じています。

残業代5大間違い

① 合意による残業代のカット
② 労働時間の認識の誤り
③ 基礎賃⾦の計算の誤り
④ 管理監督者性の誤り
⑤ 賃⾦制度の理解の誤り

以下、一つずつご説明します。

① 合意による残業代のカット

社長さんと話しをしていますと、
 「うちの会社は、残業代を支払わない代わりに基本給を高くしているから。このことは雇い入れるときに従業員から合意をとっているから」
と、よく聞きます。

しかし、残業代の支払いは労働基準法で定められており、いくら従業員さんが合意・納得していたとしても残業代のカットはできません。
残業代の代わりに高めの基本給を支払う。と、従業員と合意していたとしても、退職時などに未払い残業代を請求されたら、高めの基本給とは別に未払い残業代も支払わなければなりません。

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② 労働時間の認識の誤り

法律が定める労働時間とは、以下の時間です。

① 労働者が使用者の「指揮命令下に置かれている時間」のこと
② ①は、労働契約や就業規則等の定めにより形式的に決まるものではなく、個別的・具体的に検討をする

上記②で、個別的・具体的に検討をすると書きましたが、その検討の仕方は
(ⅰ)就業時間外と(ⅱ)就業時間内 とで分けて検討すべきです。

結論からあ申し上げますと、
● 就業時間外は、原則として労働時間に当たりません。
しかし例外的に、事業主の「指揮命令下」にあるならば、労働時間に該当します。
● 就業時間内は、原則として労働時間に当たります
しかし例外的に、指揮命令下になければ労働時間にはなりません

もう少し詳しく説明します。

(ⅰ)就業時間外

就業時間外は、原則として労働時間に当たりません。
しかし例外的に、事業主の「指揮命令下」にあるならば、労働時間に該当します。

指揮命令下の判断基準として、裁判所は三菱重工⻑崎造船所事件で以下のように定義しています。

指揮命令下にあることの判断要素(三菱重工⻑崎造船所事件)

(ア) 業務遂行の義務づけ
(イ) 場所的拘束性
(ウ) 特段の事情(就業時間との連続性など)
(エ) 業務性(業務性の強弱)

就業時間外の行為が労働時間性が認められるかは、「(ア)業務遂行の義務づけ」があったかが大きな判断要素となります。
業務遂行の義務づけの強弱をつけると下記のようになります。

業務遂行の義務づけの強弱

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(ⅱ)就業時間内

就業時間内は、原則として労働時間に当たります
しかし例外的に、指揮命令下になければ労働時間にはなりません

【指揮命令下にないことの判断要素】としては、労働からの解放が保障されていることといえます。

③ 基礎賃⾦の計算の誤り

賃金は、【基準内賃金】と【基準外賃金】で構成されています。
【基準内賃金】を残業代の基礎として、残業代を計算します。
【基準外賃金】は、残業代に含まなくても構いません。
では、どんな賃金が【基準外賃金】になるのでしょうか?

下記のアからキが、【基準外賃金】として、労働基準法で限定列挙されています。

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これは、手当名で判断するのではなく実態で判断されます。

(ア) 家族手当 扶養家族の有無・数に応じて算定されるもの
(イ) 通勤手当 通勤の距離・実費に応じて算定されるもの
(ウ) 別居手当 扶養家族と別居を余儀なくされた場合
(エ) 子女教育手当 子女の学校教育費の補助として支給されるもの 
(オ) 住宅手当 住宅に要する費用に応じて算定されるもの
(カ) 臨時に支払われた賃金 支給事由の発生が不確定で非常に稀に発生するもの

 

④ 管理監督者性の誤り

管理監督者に該当すると、
・ 時間外労働の割増賃金の支払いの必要がない
・ 休日労働の割増賃金の支払いが必要ない

事になります。ただし、深夜労働の割増賃金だけは支払う必要があります。

ここでよく起こる問題が、管理監督者だと思って残業代を支払っていなかったから、実は管理監督者として認められなかった。というケースです。

管理監督者に該当するか否かの判断基準として、【(1) 職務の内容、権限、責任】【(2) 出退社などについての自由度】【(3) 地位にふさわしい処遇】の3つで判断します。

(1) 職務の内容、権限、責任

・ 労働時間・休憩・休日等に関する規制の枠を超えて活動せざるをえない重要な職務内容を有している
・ 会社の経営方針や重要事項の決定に携わり、労務管理上の指揮監督権を有している
・ 労働条件の決定その他労務管理について、経営者と一体的な立場にあり、労働時間等の規制の枠を超えて活動せざるを得ない重要な職務内容を有している
などです。
具体的には、
〇 採用・解雇・人事考課などの人事権限がある
〇 シフトの作成・時間外労働の命令などの労働時間の管理に関する責任と権限がある

などが挙げられます

(2) 出退社などについての自由度

自らの出退勤について、裁量を有している必要があります。
タイムカードがあってもよいですが、遅刻や早退と給与が連動していないことが重要になります。

(3) 地位にふさわしい処遇

賃金やその他の待遇において、職務の重要性から一般労働者と比較して、相応の待遇がなされていなければなりません。
ひとつの目安として年収が1075万円を超えていること

これらの3要件を考えますと、「中小企業では、経営者くらいしか監督者性は認められない」と認識していたほうが無難かもしれません。

今回は、ここまでにして次回は、【⑤ 賃⾦制度の理解の誤り】についてご説明したいと思います

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ご不明な点は、長谷部までご連絡を下さいませ。

 

厚生労働省HP参照

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